活動履歴2019

セミナーの内容

2019年414日(日)15時開演

 
公開レッスン&コンサート
講師:
植田克己(ピアノ)
東京藝術大学および同大学院修了。デトモルト音楽大学、ベルリン芸術大学でクラウス・シルデ氏に師事。第17回ロン・ティボー国際音楽コンクール第2位。ベルリン芸術大学助手。ソリストとしてドイツ、日本の主要オーケストラと協演。1986年~2005年『植田克己ベートーヴェンシリーズ全27回』を開催するなど企画、演奏で積極的な活躍を行う。藝大ジュニア・アカデミー校長、上野学園特任教授、東京藝術大学名誉教授。
 
共演:
玉井菜採(ヴァイオリン)
桐朋学園大学卒業後、アムステルダムのスヴェーリンク音楽院、さらにミュンヘン音楽大学にてA.チュマチェンコ氏に師事。J.S.バッハ国際コンクールをはじめエリザベート王妃国際コンクール、シベリウス国際コンクール等数々のコンクールに優勝、入賞し、ソリストとして国内外で活躍。。紀尾井ホール室内管弦楽団コンサートマスター。アンサンブルof東京、東京クライスアンサンブルメンバー。東京藝術大学教授。
 
□受講生
上敷領藍子(Vn.)東京藝術大学附属音楽高等学校、同大学を経て、同大学大学院修士課程を修了、マーストリヒト音楽院(オランダ)卒業。現在、昭和音楽大学大学院博士後期課程在学中
吉武 優(Pf.)東京藝術大学を経て、同大学大学院修了
ベルリン国立芸術大学ディプロム課程卒業、国家演奏家資格取得、桐朋学園大学および東京藝術大学ピアノ科非常勤講師、同大学弦楽科伴奏助手
受講曲:L.v.ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第10番 ト長調 Op.96
 
□コンサートプログラム
W.A.モーツァルト:「泉のほとりで」による6つの変奏曲 K.360(374b)
L.v.ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第10番 ト長調 Op.96
 

2019年63日(月)16時開演

 
公開レッスン&コンサート
講師:Elisabeth Weber/エリザベート・ヴェーバー(ヴァイオリン)
ワイマールで学び、その後ベルリン、ロンドンでも研鑽を積む。J.シゲティ・コンクール、L.シュポア・コンクール、M.ロスタール・コンクールなど、数々の国際コンクールで優勝。ヨーロッパ各地の室内オーケストラのソロ、コンサートマスターで活躍。アイスラー弦楽四重奏団(2005年創設)、オルフェリアン弦楽四重奏団(ピリオド楽器のアンサンブル)メンバー。
 
共演:薮田京子(ピアノ、通訳兼)
東京藝術大学大学院卒業後、ドイツのカールスルーエ音楽大学大学院演奏家課程修了。東京藝術大学弦楽科伴奏助手を務め、2008年まで「アフィニス夏の音楽祭」のピアニストを務める。日本、ドイツ各地でリサイタルを開催。東邦音楽大学ピアノ科非常勤講師、日独協会、東京家政大学、外務省研修所ドイツ語講師。
 
□受講生
1)  向山亜木子(Vn.)東京藝術大学3
受講曲:W.A.モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
ピアノ伴奏:原 沙綾
 
2)  岩崎弓乃(Vn.)東京藝術大学4
受講曲:W.A.モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 「トルコ風」 K.219
ピアノ伴奏:千葉遥一郎
 
□コンサートプログラム
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ ト短調 BWV1001
W.A.モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ト長調 K.301(293a)
クライスラー:レシタティーヴォとスケルツォ・キャプリス
 

2019年630日(日)15時開演

 
コンサート
演奏:アーニマ四重奏団
山﨑貴子(ヴァイオリン)
松原勝也(ヴァイオリン)
吉田 篤(ヴィオラ)
くぼたりょう(チェロ)
2006年に結成。2008年および2010年、松尾学術振興財団より音楽助成を受ける。2009年「リゾナーレ室内楽セミナー」に参加、緑の風音楽賞受賞。「期待の弦楽四重奏団」としてリゾナーレ音楽祭に招待される。東京藝術大学ハイドンプロジェクトに参加。2015年バルトーク、2016年メンデルスゾーン、2017年シューマン、ブラームスの各弦楽四重奏曲全曲演奏会を開催するなど、積極的な活動を各地で展開。2018年からはベートーヴェンの全曲演奏会を開催中。
 
□コンサートプログラム
ハイドン:弦楽四重奏曲第42番 ニ長調 Op.33-6 Hob.Ⅲ-42
W.A.モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K.421
L.v.ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5番 イ長調 Op.18-5
 
 

2019年728日(日)15時開演

 
コンサート
演奏:日下紗矢子(ヴァイオリン)
東京藝術大学附属音楽高校を経て、2001年同大学首席卒業。米・南メソディスト大学に留学。同大学院アーティストコース卒業。その後フライブルク音楽大学でも研鑽を積む。イフラ・ニーマン国際ヴァイオリンコンクール、日本音楽コンクール、R.リピッツァー国際コンクールで優勝。パガニーニ国際コンクール第2位。出光音楽賞等多数受賞。2009年べルリン・コンツェルトハウス管弦楽団第1コンサートマスター就任、2013年読売日本交響楽団コンサートマスター就任、日独両オーケストラのコンサートマスターを兼任。
 
日下知奈(ピアノ)
東京藝術大学附属音楽高校、同大学を経て同大学大学院修了。第44回園田高広賞国際ピアノコンクール第3位。2002年ケルン音楽大学に留学しP.ギリロフ氏に師事、ピアノ、室内楽共に首席で卒業。第3回東京音楽コンクール第3位。神戸市室内合奏団と協演。国内各地でソリスト、室内楽奏者として幅広く活躍。2015年より「ベートーヴェンぷらす」と題した室内楽シリーズを開催、好評を得た。20122015年、東京藝術大学室内楽科非常勤講師。現在同大学弦楽科伴奏助手、国立音楽大学附属高校講師。
 
□コンサートプログラム
ブラームス:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト長調 Op.78
シューマン:森の情景 Op.82
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
シューマン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番 イ短調 Op.105
 
 

2019年922日(日)15時開演

 
レクチャー&コンサート
講師:
Johannes Meissl/ヨハネス・マイスル(ヴァイオリン)
オーストリア生まれ。ウィーン音楽演劇大学でW.シュナイダーハンとG.ヘッツェルに師事。1982年アルティス・クァルテットを結成、オーストリアを代表するクァルテットとして多彩な活動を行う。ウィーン国立音楽演劇大学室内楽科、J.ハイドン室内楽研究所主任教授。ヨーロッパ室内楽アカデミー(ECMA)芸術監督として、数々の優れた若手クァルテットを世に輩出している。
 
Avedis Kuyumjian/アヴェディス・クユムジャン(ピアノ)
レバノンのベイルート生まれ。ウィーン音楽演劇大学でピアノを専攻、第6回ベートーヴェン国際ピアノコンクールで優勝後、欧州各地、日本で主要オーケストラとの協演やリサイタルを行い、室内楽奏者としての実力も発揮。1997年からウィーン音楽演劇大学教授。J.マイスル教授と共にJ.ハイドン室内楽研究所を創設、所長として活動。2016年ベルギーのエリザベート王妃音楽大学のピアノ科教授にも任命される。
 
通訳:薮田京子
 
□コンサートプログラム
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナティネ第2番 イ短調 Op.137-2 D385
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲 イ長調 Op.162 D574
 
 

2019年1026日(土)15時開演

 
レクチャー&コンサート
演奏:高野耀子(ピアノ)
パリに生まれ、4歳からピアノを始める。15歳で東京音楽学校に入学、3年後パリに戻り、19歳でコンセルヴァトワールをプルミエ・プリで卒業。その後ドイツのデトモルト音楽院でH.リヒター・ハーザーに師事。1954年ヴィオッティ国際コンクールで優勝。以後ヨーロッパ各地の主要オーケストラと協演を重ねるなど活発な演奏活動を行う。1965年から4年間A.B.ミケランジェリの薫陶を受ける。1979年帰国、東京を中心に各地でオーケストラとの協演をし、リサイタルを開催、現在にいたる。
 
□コンサートプログラム
G.F.ヘンデル:エア・ヴァリエ
W.A.モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.475
W.A.モーツァルト:ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K.457
シューマン:子供の情景 Op.15
シューマン:蝶々 Op.2
 
 
 

2019年1123日(土)15時開演

 
公開レッスン&コンサート
講師:
和波たかよし(ヴァイオリン)
1962年、日本音楽コンクール第1位、特賞。1970年、J.シゲッティ氏の推薦によりブリュッセルのイザイ協会からイザイメダルを授与される。1971年、イザイ無伴奏ソナタ全曲録音で文化庁芸術祭優秀賞受賞。国内外のオーケストラとの協演やリサイタル、室内楽の分野でも土屋美寧子とのデユオ等で活躍。文化庁芸術祭優秀賞、サントリー音楽賞、紫綬褒章、旭日小綬章を受賞。桐朋学園大学、東京藝術大学、愛知県立芸術大学で非常勤講師。1985年から北杜市で毎夏「八ヶ岳サマーコース&コンサート」を開催。
 
□受講生
1)  眞岩紘子(Vn.)京都市立芸術大学卒業
受講曲:E.A.イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番 ホ短調 Op.27-4
2)  辻 純佳(Vn.)東京藝術大学3
受講曲:E.A.イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 「バラード」 Op.27-3
 
□コンサートプログラム
E.A.イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 Op.27-1
E.A.イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 「バラード」 Op.27-3
 
 
 
 

2019年1215日(日)15時開演

 
コンサート
演奏:佐久間由美子(フルート)
東京藝術大学附属音楽高校を経てパリ国立高等音楽院をプルミエ・プリで卒業。帰国後はオーケストラとの協演を始めソリストとして、また室内楽奏者として活躍。1983年ランパル国際コンクール第1位、第1回神戸国際フルートコンクール第2位。1992年モービル音楽賞奨励賞受賞。オイロス・アンサンブルメンバー。国立音楽大学及び大学院客員教授。
 
吉野直子(ハープ)
1985年第9回イスラエル国際ハープコンクールに最年少17才で優勝。その後は世界各地でソロ・リサイタルを行うとともに、ヨーロッパ、アメリカ、日本の主要オーケストラ、指揮者と協演を重ねている。CD録音多数。1988年芸術祭賞、1991年文化庁芸術選奨文部大臣新人賞受賞。国際基督教大学卒業。
 
佐々木亮(ヴィオラ)
東京藝術大学附属高校を経て同大学卒業。ジュリアード音楽院でさらに研鑽を積む。現音室内楽コンクール第1位。東京室内楽コンクール第2位。NHK交響楽団首席ヴィオラ奏者。20082014年、岡山潔弦楽四重奏団メンバー。アメリカ・日本で著名演奏家たちと室内楽の分野で活躍。桐朋学園大学、洗足学園大学、東京藝術大学講師。
 
□コンサートプログラム
J.S.バッハ: 組曲 ハ短調 BWV997
ドヴィエンヌ:フルートとヴィオラのための協奏的二重奏曲 ハ短調
ゲンツマー: フルート、ヴィオラ、ハープのための三重奏曲
ラヴェル(編曲 C.サルツェード): フルート、ヴィオラとハープのためのソナチネ
ドビュッシー: フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
 

2020年118日(土)15時開演

 
コンサート
演奏:
葵トリオ
秋元孝介(ピアノ)
小川響子(ヴァイオリン)
伊東 裕(チェロ)
東京藝術大学およびサントリーホール室内楽アカデミーで3人が出会い、共に研鑽を積み、2016年ピアノトリオを結成。3人の頭文字を合わせて葵トリオと命名。2018年第67回ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門で優勝、現在は拠点をドイツに置き、トリオ・ヴァンダラーのV.コック、フォーレ四重奏団のD.モメルツに師事。ヨーロッパ、日本を中心に活発なコンサート活動を行っている。第28回青山音楽賞バロックザール賞、第29回日本製鉄フレッシュアーテイスト賞を受賞。
 
□コンサートプログラム
シューマン: ピアノ三重奏曲第3番 ト短調 Op.110
シューマン:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.17
ブラームス: ピアノ三重奏曲第2番 ハ長調 Op.87
 
 
 

2020年216日(日)15時開演

 
公開レッスン &コンサート
講師:
山崎伸子(チェロ)
桐朋女子高等学校音楽科、同大学音楽学部卒業。更にジュネーヴでP.フルニエに師事。ヨーロッパ・日本の主要オーケストラと協演。ソリストとして、また室内楽奏者としても活躍。第1回民音室内楽コンクール第1位。第44回日本音楽コンクール第1位。2007年より10年にわたるチェロソナタシリーズを開催。同シリーズライブCDで第49回レコード・アカデミー賞受賞。「東燃ゼネラル音楽賞」奨励賞受賞。桐朋学園大学特任教授。東京藝術大学名誉教授。
 
星野宏美(音楽学)
東京藝術大学楽理科卒業、同大学院修了。博士(音楽学)。著書に『メンデルスゾーンのスコットランド交響曲』(音楽之友社)、玉川大学所蔵メンデルスゾーン自筆ピアノ譜『最初のワルプルギスの夜』(雄松堂)、楽譜校訂に“Mendelssohn Bartholdy:Sonaten für Violine und Klavier (Bärenreiter、桐山建志と共著)、楽譜解説に『メンデルスゾーン交響曲第3番』、『同第4番』、『同無言歌集』(音楽之友社)など。立教大学教授。
 
演奏:
大伏啓太(ピアノ)
東京藝術大学附属音楽高校、同大学を経て同大学院修士課程修了。国内外のコンクールにて優勝、入賞を重ね、2014年には日本音楽コンクール審査員特別賞を授与されるなど、共演者としての信頼も厚い。東京藝術大学大学院室内楽科非常勤講師を務め、現在は同大学ピアノ科、および桐朋学園大学ピアノ科非常勤講師。
 
□受講生
水野優也(Vc.)桐朋学園大学音楽科ソリスト・ディプロマ・コース修了。現在、ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽大学在学生
五十嵐 薫子(Pf.)桐朋学園大学大学院修士課程修了。現在、修士修了後履修生
【受講曲】F.メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第2番 ニ長調 op.58
 
□コンサートプログラム
メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第2番 ニ長調 Op.58
メンデルスゾーン: 無言歌 Op.109
 
 

セミナーレポート

「モーツァルトのヴァイオリン協奏曲」

公開レッスン&コンサート
 
講師:エリザベート・ヴェーバー(ヴァイオリン)
通訳/ピアノ 薮田京子
    
2019年6月3日(月)16時 スタジオ・コンチェルティーノ

 
 今日はヴァイオリニストのエリザベート・ヴェーバーさんのフォーラム初登場である。ヴェーバーさんは旧東ドイツのチューリンゲン生まれ。ワイマールで学び、その後ベルリン、ロンドンで研鑽を積み、ヨーゼフ・シゲッティ・コンクール、シュポア・コンクール、マックス・ロスタル・コンクールなど相次ぎ優勝し、国際的なヴァイオリニストの地位を築いてきた。ローザンヌ室内管、チューリヒ室内管、マーラー室内管のコンサートマスターを務め、室内楽奏者としてもアイスラーSQ,オルフェリアンSQのメンバーとして活躍し、ハーディングなど著名指揮者との共演も多い。2006年からドイツ・リューベック音楽大学の教授として後進の指導にもあたっている。今回、神戸室内合奏団に招かれて訪日し、同室内管とJ.S.バッハのヴァイオリン協奏曲第1番の名演を披露した後、TAMAフォーラムに駆け付けた。
 公開レッスンの受講者は東京藝大3年の向山亜木子さん(V)と原沙綾さん(P伴奏)と東京藝大4年の岩崎弓乃さん(V)と千葉遙一郎さん(P伴奏)がそれぞれモーツァルトのヴァイオリン協奏曲の第3番の第1楽章と同第4番の第1楽章を通して演奏した後、ヴェーバーさんが自分の愛器を手にしながら主にヴァイオリニスト受講生に対して懇切なレッスンを行った。その指導は熱烈かつ綿密で、どちらも予定の時間をオーバーするほどとなった。このレスンの概要を以下の通り記録しておく。
 〈向山・原コンビ〉
*きっちりひかれてはいるが、これまで、モーツアルトの作品はほかにどんなものを弾いてきたか。彼の映画や肖像画を見たことがあるか。どんな人物だったのか。楽譜には細かい指示が書いていないので、どこから音楽のイメージをつくるのかが大切だ。演奏するときは(楽譜をなぞるだけでなく)彼のいろいろな面を表現してほしい。
*(ダウンボウをやらせて)柔らかく自然に弓を引き下ろすこと。手首に力を入れないで。肩を柔らかく動かして.体が固いのはよくない。音をホールに響かせよう。音楽をどんどん進行させよう。余計な力を入れないで。
*あなたは声を出して歌うことがありますか。歌うことはとても大切ですよ。
 〈岩崎・千葉コンビ〉
*とてもいいです。ご自分のメッセージが聞こえてきました。ただ、もう少しいろいろな意味で演奏に自由さがあればいいのですが。アーティキュレーションをもっといろいろ使い分ければいい。もっと自在に演奏して自分でも楽しめるような演奏を心掛けてほしい。
*モーツアルトらしさを表現することが大切です。
*(ヴァイオリンの出だしをビブラ―トなしで演奏させて)ビブラートなしのほうが音程の正確さを求められる。ビブラ―トに頼りすぎないように。
*もっと自由に。こうでなければ、という思いにとらわれないで弾き始めたい。小さなカデンツァはゆっくり弾き始めること。弓を押し付けるのではなく、オープンにして音を響かせよう。下降音型で音がぐったり落ちないように、しっかり保持すること。構え過ぎないで。もっと喜びの表情で。
*自然でいながら、自在な弓使いで、しかし集中すべきところは集中して・・・。
 
 以上でレッスンは時間切れとなり、休憩後、コンサートに移った。
曲目はまず、バッハの無伴奏ソナタ第1番ト短調BWV1001。つづいて、ヴィットマンの無伴奏練習曲第1番が予定されていたが、モーツアルトのレッスンの後でもあり、曲目を変更し、モーツァルトのピアノとヴァイオリンのためのソナタ ト長調KV301の第1楽章が、レッスンの通訳を巧みに果たした薮田京子さんのピアノで共演された。最後にクライスラーのヴァイオリンソロ曲「レシタティーボとスケルツオ・キャプリス」作品6で締めくくった。演奏は、レッスン時に想像した通り、柔らかく豊かな音色で、3曲それぞれの曲想を悠然と描き分け、いつまでも拍手が鳴りやまなかった。(記録:西谷晋) 
 

「高野耀子ピアノリサイタル」

レクチャー&コンサート
 
講師:高野耀子(ピアノ)
 
    
2019年10月26日(土)15時 スタジオ・コンチェルティーノ

 
 
 
 国際舞台で活躍する日本人の音楽家がますます増えている現状は頼もしい限りで、若手・中堅が国際コンクールで優秀な成績をあげる例も目立っている。ごく最近の例では、97日のヨハネス・ブラームス国際コンクール(オーストリア)のピアノ部門で三原三紗子さん(30)が1位、尾島紫穂さん(36)が2位、石井楓子さん(28)が3位と上位を独占した。そして、同21日のブザンソン国際若手指揮者コンクール(フランス)で沖澤のどかさん(32)が優勝し、(第102TAMA音楽フォーラム室内楽セミナーの後だったが)118日のジュネーブ国際音楽コンクール(スイス)の作曲部門で高木日向子さん(30)が優勝。さらに同16日のロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクール(フランス)ではピアノ部門で三浦謙司さん(26)が1位、務川慧悟さん(26)が2位となる快挙を成し遂げた。第102回セミナーの講師、高野耀子先生は今から65年前、1954年のヴィオッティ国際音楽コンクール(イタリア)のピアノ部門で審査員の満場一致で優勝した。日本人として初めての国際音楽コンクールでの優勝だった。つまり、高野先生は日本人音楽家の今日の隆盛を築き上げた大先達なのだ。
 
 この日のセミナーではまず、岡山芳子理事長が「高野先生に講師をお願いするのは3年ぶりです」と紹介。先生は「今日、お聴かせする曲のうち、3曲はピアノ人生の出発点とも言える思い出が詰まった曲で、大事にしています。ヘンデルのエア・ヴァリエは小学校2年の時、今から80年前に弾かされて、第1変奏の左手のところができなくて自殺をしようかと思ったほどでした。やっぱり難しい曲です。シューマンの『パピヨン』は初めてオクターブに取り組んだ曲で、藝大の入試の自由曲で弾きました。モーツァルトはミュンヘン音楽大学の課題曲でした」と、選曲の訳を説明した。幼いころから厳しい自己規律でピアノと向き合ってきたことが伺い知れる。
 
 高野先生はパリで生まれ育ったので、自然とフランス語が出てくるが、ヘンデル(Georg Friedrich Händel 16851759)のエア・ヴァリエは日本式にはハープシコード組曲第5番ホ長調HWV430の第4楽章「エアと(5つの)変奏」で、「調子の良い(あるいは愉快な)鍛冶屋」という通称がある。ヘンデルは1712年にドイツからイギリスに移って27年に帰化した経緯があり、この曲は20年に出版されたハープシコード組曲第18曲中の第5番。本当かどうか分からないのだが、この通称は元鍛冶屋の楽譜商がハンマーの音を連想して付けたという説がある。インターネットのペトルッチ楽譜ライブラリー(IMSLP)で、ピアニスト・指揮者のハンス・フォン・ビューロー(Hans von Bülow 1830 94)がハープシコード(チェンバロ)用の原曲をピアノ用に改定した楽譜を見ることができる。原曲にはないフォルテ、ピアノといった強弱記号、カンタービレなどの発想記号、さらにクレッシェンド、ウン・ポコ・ピウ・モッソなどと様々な指示が書き込まれている(これら2つの楽器にはタッチの軽重、指使いなどに違いがあるそうだ)。
 
 音楽ファンでなくても、どこかで聞いたことがあるメロディーだと思うに違いない。音の強弱が出ないチェンバロでは、楽譜にない装飾音を加えて流麗で華やかなバロックの世界を繰り広げる。そのピアノ版は少なくとも百何十年か後だけに、楽器の進化を反映して音量、強弱、ニュアンスといった表現の幅が格段に広がったと言えるだろう。先生は「まず、自殺未遂から・・・」と言って弾き始めた。次第に響きが力強く音量が豊かなって行く。たしかにチェンバロのように聞こえるところもある。ビューローの楽譜を見ると、終わりに近づくほど黒くなっている。ピアノの練習に向いている曲かも知れないが、先生のおっしゃる通り難しい曲のようだ。
 
 2曲目のモーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart 17561791)の幻想曲KV475 1785年の作曲、3曲目のピアノ・ソナタKV457は第14番と呼ばれ、84年の作曲で、両者は85年に作品11として出版された。調性は同じハ短調。モーツァルトのピアノ・ソナタのうち短調の曲はこれと第89)番イ短調の2曲だけ。先生は2つの曲をほとんど間を置かず、音量豊かに弾いた。幻想曲はソナタのいわばプロローグ的な位置づけで、概して暗く、憂鬱というか、重苦しい印象だ。先生のメモではソナタの第1楽章を自筆譜通りのアレグロ(出版譜はモルト・アレグロ)、第3楽章も自筆譜と同じモルト・アレグロ(出版譜はアレグロ・アッサイ)となっている。第1楽章は幻想曲の続きのように始まり、次第にモーツァルト一流の快い響きが広がって行く。第2楽章は澄み切ってゆったりと流れ、第3楽章は緩急のメリハリが素晴らしい。全体として繊細と大胆、劇的な激しさが同居している感じだ。ヘンデルの「鍛冶屋」とは60年余りの違いしかないとはとても思えない。
 
休憩をはさんで、まずシューマン(Robert Schumann 181056)の「子供の情景Op.15」の13曲。天才ピアニスト、クララ・ヴィーク(Clara Wieck -Schumann 181996)と結婚する2年ほど前の1838年の作曲で、「見知らぬ国や人々のこと」「まか不思議な話」「おにごっこ」など、13曲にはすべて標題が付いている。シューマンは子供好きだったようで、幼い子供の心情を推し量ったり、動きを観察したりして作品に仕上げたのだろう(夫妻は8人の子供をもうけた)。7曲目の「トロイメライ」はあまりにも有名だ。高野先生は昔に帰って無心とか純真、無邪気といった子供の世界を心温まる響きで表現した。
 
続いて、やはりシューマンの「蝶々Op.2」。クララ編纂の楽譜には183031年の作曲とある。原題はフランス語のパピヨン(Papillons)。ドイツの作家ジャン・パウル(Jean Paul 17631825)の小説「生意気盛り(Flegeljahre)」、とりわけ、そのなかの仮面舞踏会の描写に触発されて作曲したという。小説は解放とか、自由、喜び、内気、繊細さといった作家自身の心の有り様を自己の相対化を通じ、含蓄のある多様な比喩で描いた作品とされ、若いシューマンはその手法、内容にひかれたようだ。6小節の序奏と12曲で構成され、各曲には「仮面舞踏会」を始め、小説に登場する兄弟の名をとった「ヴァルト」や「ヴルト」などの標題が付いている。使った調性が10もあり、曲想がめまぐるしく変わる。これは、さなぎから変態し、美しい羽で自由に飛び回り、永遠の生命の象徴でもある蝶の音楽による比喩とも考えられる一方、仮面舞踏会の雰囲気と作家自身の夢想をシューマンが推し量り、音で表そうとしたのではないかといった論考も出ている。現在では「ロマン主義の革新的な楽曲」という高い評価もあるが、発表当時は奇抜、奔放、様式からの逸脱などと批判され、総じて不評だったという。なぜ、曲名をフランス語にしたのかは分かっていない。作家(本名Johann Paul Friedrich Richter)が自身の個人名Johannのフランス語表記Jeanを筆名に使ったのをシューマンが真似てみたのかも知れない。
 
楽譜はやはり、進めば進むほど黒っぽくなって行く感じなので練習には向いているのだろう。だが、作曲の背景を知り、シューマンの意図を汲み取って演奏するのは、「子供の情景」とは違った意味できわめて難しいのではないか。終曲はメトロノーム記号が4分音符163のすごい速度指定とfで始まり、最後がppp高野先生は長くて輝かしいピアノ人生が凝縮した「パピヨン」を静かに弾き終えた。アンコールは「トロイメライ」。大きな拍手が続いた。先生のなお一層のご活躍をお祈り致します。(走尾 正敬)
 

メンデルスゾーンのチェロソナタ第2

公開レッスン&コンサート
講師:山崎伸子(チェロ)星野宏美(音楽学)
共演:大伏啓太(ピアノ)
2020年2月16日(日)15時開演 スタジオ・コンチェルティーノ
 

 
 本日はまもなく活動をひとまず終えるTAMA音楽フォーラムの最後から二つ目のセミナーである。まず岡山芳子理事長が二人の講師を紹介、メンデルスゾーンの権威、星野宏美先生が登場して、約20分、簡潔かつ適切な解説をした。ごくかいつまんでその内容を書き留める。
*チェロソナタ第2番は明るい躍動感に満ちていて、大好きな曲である。彼らしい魅力とスケールの大きさがある。
*彼はピアノを得意とし、ヴァイオリン、ヴィオラは弾いたが、チェロはやらなかったものの、チェロは身近な楽器だった。というのも弟のパウロが生涯チェロに親しんでいて、一緒に家庭での演奏を楽しんだ。彼はパウロの腕前を高く評価し、彼のために初期の協奏変奏曲はじめ、二つのチェロソナタを書いた。
*チェロソナタ第2番は第1番と同じく自筆稿がないため、わからない点が多い。彼の最後のソナタであるこの曲はソナタ中、唯一4楽章からなっている。もともと3楽章だったのを後で第3楽章をつけたしたとか、それが母親の死と関連しているとか考えられるがいずれも想像の域を出ない。もし、自筆稿が見つかったら凄いことなのだが。
*この曲をつくった時期、彼は作曲以外の活動でも忙しく、何度も転居したり、できたばかりの鉄道でライプチヒとベルリンを往復したり、安定と成熟というより、精神的にもむしろ、さすらいの時代だったと言える。しかしとにかく、この曲には音楽への純粋な歓びがみなぎっている。
 
 星野先生に続いて、日本の代表的チェリスト山崎伸子さんによるレッスンが始まった。
受講者はチェロの水野優也さん(桐朋学園大学音楽科ソリスト・ディプロマ・コース終了。
ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽大学在学中)。ピアノは五十嵐薫子さん(桐朋学園大学院修士修了後履修生。この二人が山崎さんの求めに従い、一楽章づつ演奏した。山崎さんのレッスンの概要は次の通り。
(第1楽章Allegro assai vivace
*すばらしい。何を言うべきか困る。若さの勢い、これはこれでいいのではないか。でもとりあえず第2楽章を演奏しましょう。
(第2楽章Allegretto scherzando
*「お二人で何か問題を感じましたか」。私はなるべく教えない方法をとっていますので。
 テンポ感はどうですかと、暗にテンポの遅さを指摘しつつ、再度演奏を求めた。すると、スケルツァンドらしい軽さが出てきた。スポルツァンドのところはもっとはっきりと。(ピアノに対して)単に伴奏にならずにもっと起伏をつけてもいい。また、どのフレーズを重視するのかをよく考えて、インテンポの中で音色を変えたほうが良いーーなど表現上の注意があった。
(第3楽章Adagio
*コラールの出だしは広げすぎ。大げさにしないで。そこからのチェロのレシタティーボ、テンポを速くしないで。(ピアニスト大伏さんのアドヴァイス)チェロが入ってきた時のピアノの和音が広がりすぎている。よくチェロに合わせること。(山崎さん)チェロの歌う内容があまり聞こえてこない。しかしこれは宿題にしよう。
(第4楽章Molto allegro e vivace
*雰囲気はよく出ている。二つの楽器の受け答えするところでは、対話の面白さをもっと出したい。その中で感情の盛り上がりを表現する。
 山崎さんの指導が次第に熱を帯びてきて、二人の優れた受講生はそれによく応えていたが、そこで時間切れとなり、休憩後、コンサートに移った。
 
 コンサートのプログラムは、先ほどのチェロソナタ第2番ニ長調作品58とチェロとピアノのための無言歌作品109。もちろんチェロは山崎伸子さん、ピアノは大伏啓太さん。演奏はレッスンで示した通り、古典的ロマンの感情とニュアンスにあふれる名演となった。その後、熱烈な拍手にこたえて、チェロに編曲された「歌の翼」が演奏され、その前の無言歌とともに会場に得もいわれぬ優しさが漂った。最後に岡山芳子理事長が「音楽の歓び」という表現で演奏をたたえてセミナーは終わった。故岡山前理事長はごく初期のTAMAフォーラムで「音楽研究者と演奏家とがもっと結びついた方が良い。これからのフォーラムでこの試みを続けたい」と述べていた。この日その試みを見事に実現した印象深いフォーラムとなった。(記録:西谷晋)